初心者向け
量の次は「種類」。食物繊維は、いろいろ食べるほど面白い
食物繊維を計算していると、まずは「今日あと何g」を気にします。それが足りるようになってきたら、次に見えてくるのが「種類」です。同じ量でも、いろいろな食品から摂った方がよさそうだ——最近の研究は、その方向をゆるやかに指し示しています。
まずの答え
総量は、いまも土台です(ここは確立しています)。そのうえで、いろいろな植物・繊維を食べている人ほど腸内細菌の種類が多い傾向がある、という報告が増えています。ただし「多様性だけで健康が決まる」と言い切れる段階ではありません。だからまずは総量、慣れてきたら“種類”を少しずつ——もち麦・海藻・きのこ・豆・根菜など、違うグループから一品ずつ足すのが、いちばん無理のない増やし方です。
食卓メモ
食卓で言うと
- 主食をもち麦や大麦にする(穀物のβグルカン)。
- 味噌汁にわかめ+きのこ(海藻多糖+きのこのβグルカン)。
- ごぼう・玉ねぎ・納豆や豆(イヌリンや豆の繊維)。
- 冷やごはん・冷たい芋(レジスタントスターチ)。
食卓で見えてきたこと
食物繊維は、まず総量を満たすことが健康との関連で最も確立しています。種類の話は、その土台の上に乗る「次の一歩」です。
1万人以上を調べたアメリカの大規模研究(American Gut Project, 2018)では、週に30種類以上の植物を食べる人は、10種未満の人より腸内細菌の種類が多い傾向が報告されています(あくまで関連=相関で、因果ではありません)。
國澤純先生(医薬基盤・健康・栄養研究所)も、日本人9000人以上を調べた研究から、決まった比率より菌の種類の多さ(多様性)が大切で、その多様性はいろいろな食品を食べることで育つ、と説明しています。
違う菌が違う種類の繊維を発酵します。だから繊維の種類を増やすと、養える菌の幅が広がる——というのが、多様性が注目される理屈です。内藤裕二先生も、腸内細菌が利用しやすい「発酵性食物繊維」に注目しています。
数字で支える
- 土台は総量。種類はその「次の一歩」です
- いろいろな植物を食べる人ほど、腸内細菌の種類が多い傾向(相関)
- 違う菌が違う繊維を食べるので、種類を増やすと養える菌が広がります
- 「30種類の植物」は目安であって、達成しないとダメな数字ではありません
今日の小ネタ
同じ「あと5g」でも、いつものもち麦に加えて、今日はわかめ、明日はきのこ——と回すだけで、繊維の“種類”は自然に増えていきます。
勘違いメモ
「多様性を増やす=いろんなサプリを足す」ではありません。サプリや機能性食品は“調整役”。主役は、いろいろな食品そのものです。
言い切れないこと
「多様性そのものが、総量とは別に健康を良くする」ことを因果として示したヒトの試験は、まだ限られています。今のところ多くは相関・観察です。
「週30種類」は分かりやすい目安ですが、全員に共通する閾値ではありません。数えること自体が目的ではなく、偏りをゆるめるための考え方です。
反応には個人差があります。お腹が敏感な人は、種類を急に増やすとかえって張ることもあります。
管理人メモ
自分も最初は総量ばかり見ていました。慣れてきて「今週の種類」を見るようにしたら、いつも同じ食品に偏っていたことに気づきました。
種類を意識すると献立がマンネリしにくくなって、続けるのがむしろ楽しくなりました。
今日の食卓に落とすなら
- まずは総量。計算機で「今日あと何g」を満たせるようになってから、種類を意識する。
- 「今週の種類」(発酵性食物繊維7タイプ)を見て、いつも同じグループに偏っていないか確認する。
- 主食(もち麦)、海藻、きのこ、豆、根菜・玉ねぎ、冷やごはん(レジスタントスターチ)など、違うグループから少しずつ足す。
- 難消化性デキストリンやイヌリン入りの食品・サプリは“調整役”。単品に頼らず、食品の幅を広げることを優先する。
無理なく続けるために
- 種類を一気に増やすと、ガスやお腹の張りが出ることがあります。新しい食品は1日1つ、少量から試してください。
- IBS傾向がある人・消化器疾患で治療中の人は、多様性を追う前に、少量から自分に合う食品と量を探してください(FODMAPで張りやすい食品もあります)。
- サプリや機能性のお菓子は補助です。塩分・糖分にも注意し、食品まるごとの価値(ビタミン・ミネラル・噛む満足)を主役にしてください。
- 強い腹痛、血便、発熱、症状が長引く場合は、医療機関に相談してください。
今日の一手
次の食事で、いつも食べないグループ(海藻・きのこ・豆・根菜のどれか)を1つだけ足してみる。「今週の種類」に1つ増えます。
もっと知る開く
この記事の先にある話を、食物繊維の計算や食卓の見直しにつなげて読めます。
関連記事
水溶性・不溶性は、最初は気にしなくていい
腸活の入口で「水溶性と不溶性の割合」に迷って止まってしまう人へ。多くの食品は両方を含むので、まずは総量(1日およそ25g)を目安にする考え方と、割合を気にした方がよい場面を分けて整理します。
ヨーグルトの前に、菌のエサも見ておきたい
プロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクスを、難しい用語ではなく毎日の食卓で理解するためのガイドです。菌を入れることと、菌のエサになる食物繊維を用意することを分けて考えます。
短鎖脂肪酸は気になる。でもまず食卓に戻して考える
短鎖脂肪酸は腸内細菌の代謝産物として研究されているテーマです。このページでは、専門用語に寄りすぎず、食物繊維を毎日の食卓でどう足すかという視点から整理します。
食物繊維の先にあるテーマ
食物繊維の先にある話も、必要になったときに少しずつ読めます。