初心者向け

量の次は「種類」。食物繊維は、いろいろ食べるほど面白い

食物繊維を計算していると、まずは「今日あと何g」を気にします。それが足りるようになってきたら、次に見えてくるのが「種類」です。同じ量でも、いろいろな食品からとったほうがよさそうだ——最近の研究は、その方向をゆるやかに指し示しています。

個別監修:未実施

先に、答えを

総量は、いまも土台です(ここは確立しています)。そのうえで、いろいろな植物・繊維を食べている人ほど腸内細菌の種類が多い傾向がある、という報告が増えています。ただし「多様性だけで健康が決まる」と言い切れる段階ではありません。だからまずは総量、慣れてきたら“種類”を少しずつ——もち麦・海藻・きのこ・豆・根菜など、違うグループから一品ずつ足すのが、いちばん無理のない増やし方です。

食卓メモ

食卓で言うと

  • 主食をもち麦や大麦にする(穀物のβグルカン)。
  • 味噌汁にわかめ+きのこ(海藻多糖+きのこのβグルカン)。
  • ごぼう・玉ねぎ・納豆や豆(イヌリンや豆の繊維)。
  • 冷やごはん・冷たい芋(レジスタントスターチ)。

わかってきたこと

食物繊維は、まず総量を満たすことが健康との関連で最も確立しています。種類の話は、その土台の上に乗る「次の一歩」です。

アメリカの市民科学プロジェクト(American Gut Project, 2018)では、「1週間に何種類の植物を食べますか」というアンケートで『30種類以上』と答えた人(41人)と『10種類未満』と答えた人(44人)を比べたところ、前者のほうが腸内細菌の種類が多い傾向がありました。プロジェクト全体は1万人以上ですが、この比較自体は両端の少人数どうしで、あいだの人は解析から外れています(関連=相関で、因果ではありません)。

同じ研究で興味深いのは、「ビーガン」「雑食」といった食事のタイプ分けでは腸内細菌の違いを説明できなかったのに、食べた植物の“種類の数”のほうが関係していた、という点です。ラベルより中身、という話として読めます。

「30種類」は、思っているより数えやすい数字です。この研究のアンケートは「スープに にんじん・じゃがいも・玉ねぎ が入っていれば3種類」「雑穀パンは穀物1種ごとに1種類」「果物はすべて数に入れる」という数え方でした。味噌汁の具、五穀米、納豆、漬物、果物——和食は元々、少量多品目です。

國澤純先生(医薬基盤・健康・栄養研究所)も、日本人9000人以上を調べた研究から、決まった比率より菌の種類の多さ(多様性)が大切で、その多様性はいろいろな食品を食べることで育つ、と説明しています。

違う菌が違う種類の繊維を発酵します。だから繊維の種類を増やすと、養える菌の幅が広がる——というのが、多様性が注目される理屈です。内藤裕二先生も、腸内細菌が利用しやすい「発酵性食物繊維」に注目しています。

数字で支える

  • 土台は総量。種類はその「次の一歩」です
  • いろいろな植物を食べる人ほど、腸内細菌の種類が多い傾向(相関)
  • 違う菌が違う繊維を食べるので、種類を増やすと養える菌が広がります
  • 「30種類の植物」は目安であって、達成しないとダメな数字ではありません

今日の小ネタ

同じ「あと5g」でも、いつものもち麦に加えて、今日はわかめ、明日はきのこ——と回すだけで、繊維の“種類”は自然に増えていきます。

よくある勘違い

「多様性を増やす=いろんなサプリを足す」ではありません。サプリや機能性食品は“調整役”。主役は、いろいろな食品そのものです。

言い切れないこと

「多様性そのものが、総量とは別に健康を良くする」ことを因果として示したヒトの試験は、まだ限られています。今のところ多くは相関・観察です。

「週30種類」は分かりやすい目安ですが、全員に共通する閾値ではありません。もとになった研究で30という数字は、アンケートの選択肢の区切りをそのまま使ったもので、「ここを超えると良い」という線が見つかったわけではないからです。数えること自体が目的ではなく、偏りをゆるめるための考え方です。

この研究の参加者は自分から手を挙げた人たちで、喫煙・肥満が少なく、学歴・収入が高めに偏っていたと論文自身が述べています。日本の食卓にそのまま当てはめられる数字ではありません。

反応には個人差があります。お腹が敏感な人は、種類を急に増やすとかえって張ることもあります。

管理人メモ

自分も最初は、総量ばかり見ていました。慣れてきて「今週の種類」を見るようにしたら、いつも同じ食品に偏っていた。そう気づきました。

種類を意識すると献立がマンネリしにくくなって、続けるのがむしろ楽しくなりました。

管理人の体験(note)

このページで紹介している「週30種類」について、元の論文を読み直した記録を note に書きました。30という数字がどこから来たのか、そして数え方を確かめたら、思っていたよりハードルが低かったという話です。数字の根拠と限界を、都合の悪いところも含めて開けています。

「週30種類の植物」の30は、アンケートの選択肢だった(制作記)

今日の食卓でやるなら

  • まずは総量。計算機で「今日あと何g」を満たせるようになってから、種類を意識する。
  • 「今週の種類」(発酵性食物繊維7タイプ)を見て、いつも同じグループに偏っていないか確認する。
  • 主食(もち麦)、海藻、きのこ、豆、根菜・玉ねぎ、冷やごはん(レジスタントスターチ)など、違うグループから少しずつ足す。
  • 難消化性デキストリンやイヌリン入りの食品・サプリは“調整役”。単品に頼らず、食品の幅を広げることを優先する。

計算機で試す

記事で紹介した食品を実際の食事量に合わせて入力し、今日の食物繊維量と不足分を確認できます。

今日の食物繊維を計算する

この記事に合う候補

  • ご飯に焼きのりを足す

    1枚 3g

    1.1g

    総量
    1.1g
    水溶性
    不明
    不溶性
    不明

    主食に合わせやすく、海藻を少量取り入れる選択肢になります。

    発酵はふつう
    • 海藻
  • 味噌汁にカットわかめを足す

    味噌汁1杯分 乾2g

    0.8g

    総量
    0.8g
    水溶性
    不明
    不溶性
    不明

    味噌汁に少量足しやすい海藻の候補です。

    発酵はふつう
    • 海藻
    • ヨウ素注意

    海藻は少量を継続する食品として扱い、昆布などのとりすぎには注意します。

無理なく続けるために

  • 種類を一気に増やすと、ガスやお腹の張りが出ることがあります。新しい食品は1日1つ、少量から試してください。
  • IBS傾向がある人・消化器疾患で治療中の人は、多様性を追う前に、少量から自分に合う食品と量を探してください(FODMAPで張りやすい食品もあります)。
  • サプリや機能性のお菓子は補助です。塩分・糖分にも注意し、食品まるごとの価値(ビタミン・ミネラル・噛む満足)を主役にしてください。
  • 強い腹痛、血便、発熱、症状が長引く場合は、医療機関に相談してください。

今日の一手

次の食事で、いつも食べないグループ(海藻・きのこ・豆・根菜のどれか)を1つだけ足してみる。「今週の種類」に1つ増えます。

もっと知る開く

この記事の先にある話を、食物繊維の計算や食卓の見直しにつなげて読めます。

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