菌がつくる多糖(EPS)

ヨーグルトのEPS(菌がつくる多糖)は食物繊維のように働く?——まだ研究段階の話

ヨーグルトを食べるとき、ふつうは「菌そのもの(プロバイオティクス)」に注目します。でも最近は、その菌が“つくり出す”ねばりの成分——EPS(菌体外多糖)——にも関心が向いています。食物繊維のように腸で働くのでは、という見方です。

まずの答え

今の段階では「EPSが食物繊維のように働く」と言い切ることはできません。國澤純先生の著書でも、これからの研究テーマとして紹介されています。ヨーグルトは発酵食品として楽しみつつ、EPSを狙って何かをする段階ではない——というのが正直なところです。菌のエサをしっかり用意したいなら、まずは食物繊維やオリゴ糖が確実です。

食卓メモ

食卓で言うと

  • ヨーグルトは、EPSを狙うためではなく発酵食品として楽しむ。
  • 食べる日は、バナナ・オートミール・きなこなど食物繊維やオリゴ糖も一緒に。
  • 「菌」と「エサ」の両方が食卓にあるかを見る。

食卓で見えてきたこと

EPS(Exopolysaccharide=菌体外多糖)は、ヨーグルトのねばりをつくる乳酸菌など、微生物がつくり出す多糖類です。ケフィアや一部の発酵乳のとろみにも関わります。

消化されにくく大腸まで届くタイプもあり、腸内細菌のエサや腸のバリアへの働きが研究されています。試験管や動物の研究では、免疫・抗酸化などへの作用が報告されています。

國澤純先生(医薬基盤・健康・栄養研究所)も著書『9000人を調べて分かった 腸のすごい世界』で、ヨーグルトの菌がつくるEPSが食物繊維のように働く可能性に触れ、これからの研究テーマとして紹介しています。

数字で支える

  • EPSは、乳酸菌などがつくる「ねばり」の多糖です
  • 食物繊維やオリゴ糖と似た働きが“期待”されています
  • ただし、まだ研究段階(ヒトでの確証は限られます)
  • ヨーグルト1回分のEPSはごく微量。「何g」と数える話ではありません

今日の小ネタ

ヨーグルトの“ねばり”の正体のひとつがEPS。菌が自分でつくり出す多糖です。ただし量はごく微量で、食物繊維のように「今日あと何g」と足していく話ではありません。

勘違いメモ

「EPSがすごい」と聞いても、今は“期待”の段階です。確立している食物繊維・オリゴ糖の代わりになるわけではありません。

言い切れないこと

ヒトで「EPSをとると腸内環境が良くなる・健康になる」ことを示した質の高い試験は、まだ限られています。多くは試験管・動物の段階です。

ヨーグルト1回分に含まれるEPSはごく微量で、食物繊維のグラム数のように“数えて足す”対象ではありません。

菌の種類や商品によってEPSの量・種類は大きく異なり、「どのヨーグルトがよい」と言える段階ではありません。

今日の食卓に落とすなら

  • ヨーグルトは、EPSを狙うためではなく、発酵食品として楽しむのが今のところ現実的です。
  • 「菌のエサ」を確実に用意したいなら、まずは食物繊維(もち麦・海藻・きのこ・豆・根菜)やオリゴ糖から。EPSはその“先”にある研究テーマとして見ておく、くらいの距離感がおすすめです。
  • ヨーグルトを食べる日も、食事のどこかで食物繊維を足すと、菌とエサの両方がそろいます。

計算機で試す

記事で紹介した食品を実際の食事量に合わせて入力し、今日の食物繊維量と不足分を確認できます。

今日の食物繊維を計算する

無理なく続けるために

  • EPSやヨーグルトが病気を治す・予防すると断定する情報には注意してください。今は研究段階です。
  • 加糖ヨーグルトは糖分に注意。無糖を選び、果物やオートミールで甘みと食物繊維を足すのも手です。
  • 乳製品でお腹がゴロゴロする人(乳糖不耐)は、量を控えるか、体質に合うものを選んでください。

今日の一手

次にヨーグルトを食べる日は、EPSを気にするより、バナナ・オートミール・きなこなど食物繊維やオリゴ糖を一緒に足してみる。

もっと知る開く

この記事の先にある話を、食物繊維の計算や食卓の見直しにつなげて読めます。

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