食物繊維の測り方
目標を達成しても「足りないかも」——国が認めた、食物繊維の測り方の話
食物繊維の目標量は、女性で1日18g、男性(30〜64歳)で22g。計算機で数字を見ていると、この線を超えたかどうかが気になります。ところが、その目標量を決めた国の報告書に、こんな一文がありました。「目標量と同等、あるいは少し超える値を摂取できていたとしても、生活習慣病予防の観点からは不十分である可能性がある」。
まずの答え
食物繊維の「測り方」が2020年に変わり、以前は測れなかった成分も数えるようになりました。その結果、同じ食事でも数値が高く出ます。一方で目標量の根拠になった研究は、ほとんどが古い測り方の時代のもの。だから「目標を超えた=十分」とは言い切れない、というのが国自身の見解です。落ち込む話ではありません。数字は目安として使いつつ、届いたあとは“種類”を増やす方向へ進めばいい——そう考えるための材料です。
食卓メモ
食卓で言うと
- 目標に届いた日も、いつもと違うグループ(海藻・きのこ・豆・根菜)を一品入れてみる。
- 数字が伸びない日も、測り方の違いで上下することを思い出して、気にしすぎない。
食卓で見えてきたこと
日本食品標準成分表(八訂)では、多くの食品の食物繊維測定に「AOAC 2011.25法」が採用されました。七訂までの「プロスキー変法」で測っていた分に加えて、低分子量水溶性食物繊維と難消化性でん粉も測るようになったため、成分値が高く出ます。
食事摂取基準2025年版の報告書は、目標量の根拠にしたメタ・アナリシス(1985〜2017年公表の研究)について、そのほとんどが七訂相当の測定法を用いていたと考えられる、と述べています。
そのうえで報告書は、八訂を用いて栄養価計算を行う場合、「目標量と同等、あるいは少し超える値を提供(摂取)できていたとしても、生活習慣病予防の観点からは不十分である可能性がある」と明記しています。
この差は、国の調査データにも表れています。令和6年の国民健康・栄養調査では、食物繊維の平均摂取量17.7gに対して、水溶性3.4g・不溶性11.0g(合計14.4g)。約2割が、どちらにも分類されていません。
食事摂取基準の目標量は、「少なくとも1日25g」という値と、日本人の実際の摂取量との中間値をもとに算定されています。もともと「これだけ摂れば十分」という上限ではなく、現実との折り合いをつけた線です。
数字で支える
- 2020年(八訂)から測定法が AOAC 2011.25 に変わりました
- 新しい方法では、低分子量水溶性食物繊維と難消化性でん粉も測ります
- そのぶん、同じ食品でも成分値が高く出ます
- 目標量の根拠になった研究は、ほとんどが古い測り方の時代のもの
今日の小ネタ
国の調査では、日本人の食物繊維は1日平均17.7g。ところが「水溶性3.4g+不溶性11.0g」を足しても14.4gにしかなりません。差の3.3g——およそ2割は、水溶性にも不溶性にも分類されていない食物繊維です。新しい測定法が増やした部分が、ここに表れています。
勘違いメモ
「目標量を超えたから、もう食物繊維は大丈夫」とは言い切れません。ただし逆に「だから全然足りていない」と落ち込む必要もありません。物差しの目盛りが変わった、という話です。
言い切れないこと
測定法の変更が摂取量の推定にどれくらい影響するのか、まだはっきりしていません。報告書自身も〈今後の課題〉として「食物繊維測定法変更の影響を明らかにする必要がある」と挙げています。
食物繊維の摂取量と生活習慣病リスクとの間に、「ここを超えれば安全」という明らかな閾値は存在しないとされています。目標量は線引きであって、境界線ではありません。
では八訂ベースで何gを目指せばいいのか、という問いに、現時点で公式な答えはありません。
今日の食卓に落とすなら
- 目標量(女性18g・男性22gなど)は「最低ここは超えたい」ラインとして使う。超えたことを、ゴールではなく通過点として見る。
- このサイトが目安に25gを置いているのは、八訂の成分値を使うぶん、安全側に取るためです。厳しすぎると感じたら18gや20gから始めて構いません。
- 目標に届くようになったら、量を追い続けるより「種類」を増やす方向へ。違う繊維は違う菌のエサになります。
- 数字が思ったより高く出ても低く出ても、測り方の幅があることを思い出す。1日の増減より、1週間の傾向を見る。
無理なく続けるために
- この記事は、目標量を軽く見てよいという意味ではありません。多くの日本人、特に若い世代は目標量に届いていません。
- 逆に「もっと食べなければ」と急に増やすのも避けてください。お腹が張りやすい人、IBS(過敏性腸症候群)の傾向がある人は、少量から試してください。
- 食物繊維だけで病気を防げると断定できるものではありません。
今日の一手
計算機の数字が目標に届いていたら、次は「今週の種類」を見てみる。量の次は、種類の番です。
もっと知る開く
この記事の先にある話を、食物繊維の計算や食卓の見直しにつなげて読めます。
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