レジスタントスターチ

レジスタントスターチを詳しく:種類・冷やご飯・温め直しの本当のところ

私は一時期、冷凍したご飯を温め直して納豆をかけたものを、ほぼ毎日のように朝ごはんにしていました。「冷やご飯はレジスタントスターチが摂れる」と聞いていたからです。でも改めて調べてみると、レジスタントスターチには5つの種類があり、冷やご飯を温め直したり冷凍したりすると話が変わってくる、と分かってきました。よく聞く言葉なのに、詳しいところは意外と知られていません。

まず言うと

レジスタントスターチ(RS)は、小腸で消化されずに大腸まで届くでんぷんの総称で、由来によってRS1〜RS5の5種類に分けられます。冷やご飯や冷ましたいもで増えるのは、加熱後の冷却で再結晶化するRS3です。RS3は熱に比較的安定なため、ふつうの温め直し程度では完全には消えないと考えられています。ただし、家庭でどれくらい増えるか・冷凍や温め直しで結局どうなるか・コンビニおにぎりはどうかは、条件によって変わり、はっきりしないことも多く残っています。効果を断定せず、食物繊維全体の一部として楽しむのが現実的です。

今のところ分かっていること

レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)は、小腸で消化・吸収されずに大腸まで届くでんぷんの総称です。e-ヘルスネットでも、難消化性のでんぷんは食物繊維に含まれるものとして説明されています。大腸で腸内細菌に発酵され、短鎖脂肪酸のもとになるとされています。

由来によって5種類に分けられます。RS1は全粒穀物・豆・種子など、組織に閉じ込められて酵素が届きにくいもの。RS2は生のじゃがいもや青いバナナ、ハイアミロース米など、生のでんぷん粒そのものが消化されにくいもの(加熱するとやわらかく消化されやすくなります)。

RS3は、一度加熱して糊化したでんぷんを冷やすと再び結晶のように並び直してできるもので、冷やご飯・冷ましたいも・冷製パスタなどがこれにあたります。RS4は加工食品用に化学的に加工したでんぷん、RS5はでんぷんと脂質が結びついたものです。家庭で意識しやすいのは、主にRS2とRS3です。

加熱したでんぷんを冷やすと、溶けていたでんぷんの鎖が再び並び直し、消化酵素が近づきにくい構造(RS3)になります。これが「冷やご飯でレジスタントスターチが増える」と言われる仕組みです。冷蔵(およそ4℃)でしばらく置くと進みやすいとされます。

研究では、ご飯もじゃがいもも、熱いまま食べるより冷やした方がレジスタントスターチが増える傾向が報告されています。冷やしたご飯を食べたときは、炊きたてより食後血糖の上がり方がゆるやかだったという報告もあります。

いったんできたRS3(特にアミロース由来のもの)は熱に比較的強く、ふつうに食べる温度への温め直しでは完全には消えないと考えられています。冷やして温め直したご飯やいもも、炊きたて・熱いままより多めの傾向が報告されています。

目安

  • ご飯の例(ある研究):炊きたて 約0.6g → 冷蔵で冷やして温め直し 約1.7g(100gあたり)。※研究の条件での値で、家庭では変わります。
  • じゃがいもの例(ある研究):熱いまま 約3.1g < 冷やして温め直し 約3.5g < 冷やしたまま 約4.3g(100gあたり)。焼く方がゆでるより多めの傾向。
  • 春雨:緑豆(りょくとう)の春雨は、いも系でんぷんの春雨より血糖が上がりにくく、RSが多めの傾向とされます(具体的な量は幅があります)。
  • 青いバナナ・生のじゃがいもはRS2、豆や全粒はRS1、冷やしたご飯・いもはRS3、という具合に食品でタイプが違います。

ひと目でくらべる

レジスタントスターチの5つの種類

レジスタントスターチ(RS)は、消化されにくい理由によって5種類に分けられます。家庭で意識しやすいのは主にRS2とRS3です。

種類消化されにくい理由代表的な食品
RS1組織に閉じ込められ、酵素が届きにくい全粒穀物、豆、種子
RS2生のでんぷん粒そのものが消化されにくい(加熱するとやわらぐ)生のじゃがいも、青いバナナ、ハイアミロース米
RS3加熱して糊化したでんぷんを冷やすと再結晶化する(老化)冷やご飯、冷ましたいも、冷製パスタ
RS4加工食品用に化学的に加工されている加工用の修飾でんぷん
RS5でんぷんと脂質が結びついているでんぷんと脂質を反応させた素材

冷やご飯・冷ましたいもで増えるのはRS3です。腸内での働き(発酵性など)は種類によって違い、RS4・RS5はまだ分かっていないことも多くあります。

主食をかえると食物繊維はどれだけ増える?

いつもの白米ごはんを、麦・玄米・そば・オートミールにかえたり混ぜたりしたときの食物繊維量を、1回分の目安でくらべた表です。主食は毎日食べるので、少しの置き換えでも積み重なります。

主食1回分の目安総量水溶性不溶性
オートミール1食 乾40g3.8g1.3g2.5g
そば(ゆで)1玉 180g3.6g0.9g2.7g
発芽玄米ごはん茶碗1杯 150g2.7g0.3g2.4g
押麦(白米に混ぜる)乾30g分2.4g1.3g1.1g
玄米ごはん茶碗1杯 150g2.1g0.3g1.8g
白米ごはん茶碗1杯 150g0.5g0.0g0.5g

ごはんは炊いた状態、オートミール・押麦は乾燥の重さでの目安です。押麦は白米に混ぜて炊く前提の量で、白米ごはんにこの分(約2〜3g)が上乗せされます。数値は食品や炊き方で変わります。

データ出典:日本食品標準成分表(八訂・増補2023年)

数字の支え

数字で見ると

上の数字は「研究の条件で測るとこうだった」という例です。冷やす温度・時間・お米やいもの種類で変わるため、家庭で毎回この量になるわけではありません。グラム単位の正確さより、「炊きたてより、冷やした方が増える方向」という向きを押さえるのが実用的です。

今日の小ネタ

冷やご飯・冷たいポテトサラダ・冷製パスタ・寿司飯。加熱してから冷やした主食は、どれもRS3が増えやすい仲間です。

勘違いメモ

「冷やせば必ず増える」「温め直すと全部消える」は、どちらも単純化しすぎです。増える方向は確からしいものの、量は調理・冷やし方・食品によって変わり、温め直しでも一部は残ると考えられています。

まだ言い切れないこと

冷凍したご飯を温め直したときにレジスタントスターチがどうなるかは、はっきりしたデータが乏しく、条件によって変わります。凍らせて溶かすことを何度も繰り返すと、かえって減ったという実験もあり、「冷凍すれば増える」とは言い切れません。

コンビニおにぎりのレジスタントスターチ量を直接測った公開データは見当たりませんでした。コンビニのご飯は、かたくなる(老化する)のを防ぎつつ食中毒の危険温度も避けるため、18〜20℃前後で管理されるとされ、これはむしろRS3を大きく増やすことを狙った温度ではありません。「コンビニおにぎりは腸に良い/悪い」と断定はできません。

「冷やして増えたRSのうち何割が温め直しで残るか」といった細かい数字や、RS4・RS5の腸内での働きは、研究によって幅があり、まだはっきり定まっていません。

レジスタントスターチを増やせば病気が防げる・便通が必ず良くなる、とは言えません。血糖や腸内環境との関係は研究されていますが、家庭の一食で効果を断定できるものではありません。

管理人メモ

「冷凍ご飯を温め直して納豆」を毎朝続けていた自分は、てっきりRSをしっかり摂れていると思っていました。

調べてみると、冷凍→温め直しでRSがどうなるかは、実ははっきりしたデータが乏しいと知りました。がっかりというより、『思い込みで健康法を語らない』という、このサイトの姿勢を自分でも確かめた気分です。冷やご飯は好きなので、これからも食べます。ただ「必ず増える」とは言わないようにしています。

食卓でやるなら

  • 冷やご飯・冷たいポテトサラダ・冷製パスタ・寿司飯など「加熱してから冷やした主食」を、たまに取り入れる。
  • 春雨を使うなら、緑豆(りょくとう)春雨を選ぶ日を作る。
  • 温め直すときは、おいしく食べられる範囲でほどほどに。強く熱し直しても健康効果が上がるわけではありません(この温度の話は実践的な目安で、厳密な裏づけは強くありません)。
  • レジスタントスターチだけを追いかけず、もち麦・豆・海藻・きのこ・野菜も合わせて、食物繊維全体を計算機で見る。
  • お腹の張りやガスが気になる人は、冷やした主食も少量から試して、体調に合わせて調整する。

計算機で試す

記事で紹介した食品を実際の食事量に合わせて入力し、今日の食物繊維量と不足分を確認できます。

主食候補を計算する

この記事に合う候補

お腹が敏感な人(IBS:過敏性腸症候群の傾向がある人)や、ガス・お腹の張りが気になる人は、食物繊維を急に増やさず少量から試します。 豆類・おから・大量のきのこは、体調に合わせて控えめにしてください。言葉の意味を見る

  • ご飯に焼きのりを足す

    1枚 3g

    1.1g

    総量
    1.1g
    水溶性
    不明
    不溶性
    不明

    主食に合わせやすく、海藻を少量取り入れる選択肢になります。

    発酵はふつう
    • 海藻
  • 味噌汁にカットわかめを足す

    味噌汁1杯分 乾2g

    0.7g

    総量
    0.7g
    水溶性
    不明
    不溶性
    不明

    味噌汁に少量足しやすい海藻の候補です。

    発酵はふつう
    • 海藻
    • ヨウ素注意

    海藻は少量を継続する食品として扱い、昆布などのとりすぎには注意します。

気をつけたいこと

  • 炊いたご飯を室温に長く置かないでください。加熱後に常温で放置するとセレウス菌が増え、温め直しても壊れない毒素をつくることがあります(食中毒の原因になります)。RSを狙って冷やすときも、小分けにして速やかに冷蔵・冷凍してください。
  • レジスタントスターチは大腸で発酵してガスや張りの原因になることがあります。食物繊維に敏感な人・IBS(過敏性腸症候群)の傾向がある人は、量を急に増やさず少量から試してください。
  • 糖質制限や血糖管理などの食事指導を受けている人は、自己判断で主食の量を増やさないでください。
  • 冷やご飯や主食の工夫だけで体調を変えようとせず、強い症状や続く不調があるときは医療者に相談してください。

今日の一手

主食を冷やして食べる日は、RSだけを追いかけず、味噌汁やお浸しも足して食卓全体の食物繊維量を計算機で見てみる。

もっと知る開く

この記事の先にある話を、食物繊維の計算や食卓の見直しにつなげて読めます。

食物繊維の先にあるテーマ

食物繊維の先にある話も、必要になったときに少しずつ読めます。

参考にした情報